ブランドと聞いて、何を思い浮かべられますか?
一般の多くの方は、高級高価、ルイヴィトン、グッチというファッションブランドを思い浮かべられると思います。その他、自動車、家電、食品等の様々な業界分野でのブランドが思い浮かぶと思います。
弁護士業界においても「四大法律事務所」のようなブランドが存在します。
法曹界に身を置く先生なら、四つの大規模法律事務所の名前を知らない人はいないと思います。
では、ブランドについて少し考えてみましょう。
ブランドには、次のような事が考えられます。
1.顧客の中にある印象
2.顧客が映像として思い浮かべるイメージ
3.顧客が必要とする強み・独自性
4.顧客が寄せる信頼
5.顧客に与える影響
これを弁護士に当てはめてみると、「顧客」を「相談依頼者」等に読み替えて頂ければわかるかと思います。
1.相談依頼者の中にある印象
弁護士に会った時の印象、事務所を訪ねた時の印象、事務所のホームページを閲覧した時の印象 等々
2.相談依頼者が映像として思い浮かべるイメージ
示談交渉の場でこちらの考えをきちんと相手側に伝え、円満に解決しているシーン 等々
3.相談依頼者が必要とする強み・独自性
離婚に関する相談者なら離婚調停を多く経験しているという事実。
訴訟に絶対勝ちたい相談依頼者なら「四大法律事務所」の出身者である事を好ましく思う。等々
4.相談依頼者が寄せる信頼
大きな事務所だから安心。誰もが知っている弁護士だから安心。等々
5.相談依頼者に与える影響
あの先生が言われる事だから間違いない。等々
以上の事を考えると、ブランドはモノではないという事です。
商品サービス、そして弁護士自身、あるいは弁護士事務所に相談依頼者が抱く特定の認識であり、感情の記憶であり、想起されるものです。
つまり、ブランドとは頭の中にある価値のイメージだと言えます。
それでは、次にブランドが集客に、つまり相談依頼者の獲得にどうつながるのか考えてみましょう。
何か商品を購入したり、サービスを利用する時、どうやって選びますか?
商品の購入に至るには、商品を選択し、購入しようという意思の決定をしなければなりません。
そして、そこには商品の選択に失敗したくないという意思が働きます。
ここでブランドは大きな働きをします。
商品選択をするのにアシストをしてくれるのです。
例えば家電製品。洗濯機を購入するとしましょう。
お店に行ったらA社とB社の製品がありました。A社も、B社も性能としては、ほぼ同じです。
しかし、A社の方が価格が高いのです。価格だけで比較すれば、B社を選ぶでしょう。
でもB社の名前は全く聞いた事がありません。A社は総合家電メーカーとして世界的にも有名です。
このことから賢明な人なら無名な名前の知られていないB社よりA社を選択するはずです。
B社は価格が安くても「安かろう、悪かろう」の可能性があるのです。
それに対してA社は少々高くても、世界的に知られているという安心、信頼があります。
つまり高くても選択させるだけの力がブランドにはあるのです。
それでは以上の事を弁護士に例えてみましょう。
相続問題が起こり、弁護士を探すことになりました。依頼人の住んでいる都市にはA弁護士とB弁護士がいました。
A弁護士は、どんな相談でも引き受ける先生でしたが、B弁護士は、相続問題を中心に活動している先生でした。
周囲の評判と言えば「A弁護士は、何でも引き受けてくれるいい先生だけど、相続問題に強そうなのはB弁護士だね」と言う人が多数でした。
ここでもブランドの力が発揮されています。
つまり「相続問題ならB弁護士」というブランドが出来上がっているという事です。相続問題に実績があるという安心信頼があるのです。
やはり専門家に頼めば間違いないという選択リスクを回避する意思が働くのです。
このようにブランドは相談依頼者を獲得するのに、大きな働きをするという事です。
自分が何を購入したり、サービスを利用する時の思考プロセスを振り返ってみて下さい。
ブランドが如何に意思決定に影響を与えているか、お分かりになるはずです。