実は顧客からの信頼が厚い弁護士や、切れ目なく相談や依頼が舞い込む弁護士には、共通点があるのです。

どのような共通点かといいますと、どの先生も顧客との間にしっかりとした人間関係が築けていて、その層が厚いということです。
ブランディングが出来ていて、先生のことを信用し、信頼してくれる人が多ければ多いほど、相談や依頼のチャンスも増えてくるということなのです。

依頼することになった顧客の気持ちになって考えてみれば一目瞭然です。
ときには他人には知られたくないような話をする場合があるので、依頼者側からすると、「その弁護士は信頼できる」「安心して相談できる」ことが前提となるからです。もちろん顧客には複数の弁護士の知り合いがいることもあります。しかし、ここで、ブランディングがきちんとできていれば、問題が起きたとき一番に想起するのはその先生の顔なのです。

 

では、これから顧客を増やしていく場合には、どうしたらいいのでしょう。
どうやったら、ゼロから信頼関係を築いていけるでしょうか。

先に答えをいってしまうと、ブランディング要素である「市場」「ポジショニング」「ターゲティング」を決めたうえで、自分が興味を持っていることとの重なりをみつけ、その重なりにあるコミュニティに加入し、信頼できる人々と人間関係を築いていくことがその早道となります。
例えば顧問企業を増やしたい、経営の勉強もしたいのであれば、社長や幹部クラスの方が集まりそうな経営者団体や、経営勉強会などのコミュニティに加入してしまう、ということです。

 

ところでなぜコミュニティがよいのでしょうか?
弁護士は、紛争解決のために、人の心の傷や、深い悩みに立ち入ることが多い分、「信頼される」ことが第一です。そのため、どうやって相談者・依頼者との間に信頼関係を築いていくかが重要です。同時に予期せぬ事件に巻き込まれるリスクもあるので、リスク軽減のため「紹介客」を増やしていくことも大切になります。

コミュニティが持つパワーは、さきほどの3つの心理障壁(知らない、信じない、行動しない)のうち、「知らない」と「信じない」をいとも簡単に乗り越えてしまうだけでなく、コミュニティの仲間から、同じタイプの外部の方を紹介されやすいところにあります。

しかしやみくもに参加するコミュニティを増やしても成果はあがりません。居心地のいい、自分にふさわしい場所を見極めることが必要です。そして、仲間の役に立ち一貫した行動をしていく中で、存在感を増していく。このときの仲間が顧客のベースとなっていくのです。「この問題はこの先生に相談すれば大丈夫」というブランディングが出来ていれば、お互いにとって利益のある関係になります。複数の居心地がよく信頼できるコミュニティに参加していることが、そのまま顧客開拓につながっていくのです。

一例ですが、私の加入しているコミュニティでは、毎回初めに30秒スピーチ(近況報告)を行うのですが、そのときメンバーの先生は日常の近況報告と一緒に毎回法律のプチ情報も提供してくれます。そうすると、今度何かあったらこの先生に相談しようと思うようになります。人柄もよく知っていて、身近にいて、知識もあるのですから。

 

このブランディング実践は、「絆の法則」と「継続の法則」で成り立っています。

①絆の法則=コミュニティへの加入
絆の法則とは、コミュニティへの加入です。自分らしいコミュニティに加入し、そこで新たな人間関係の絆をつくりはじめます。もちろんすでに加入しているコミュニティでも構いません。

②継続の法則=定期的な接触
継続の法則とはそのコミュニティに継続して参加し、メンバーと積極的に関わっていくことです。この定期的な接触からザイオンス効果が生まれるのです。

ザイオンス効果は有名なので、ご存知の先生もいらっしゃると思いますが、簡単に説明すると、ポーランド生まれのアメリカの社会心理学者ロバート・ボレスワフ・ザイアンスが1968年に提示した、単純接触効果のことをいいます。
「人は意識していない状態であっても繰り返し接すると好意度や印象が高まる」という実験結果が、提唱者の名をとりザイオ(ア)ンス効果と呼ばれています。
ザイオンス効果の一例にTVCMがあります。CMでの露出が多いほど、単純接触効果が高まり、人はTVCMがこんなに流れているのだから、きっと変な商品ではない、欲しいと思ったりするのです。だからこそ、発信する側の倫理が問われることになるのですが。

興味・関心のある居心地のいいコミュニティで、仲間と積極的に交流することは、無理なく、自然に人間関係を深めることになり、好ましいザイオンス効果を生むことになるのです。そのためにも、継続性があるコミュニティであることが大切です。